オトーリホームページ

 

○ オトーリとは ○

 

 オトーリとは、沖縄本島よりさらに南に位置する宮古島で頻繁に行わている、お酒の場での飲み方です。

 

 その飲み方を簡単に説明しますと、オトーリを始める人が(オトーリを回す人を「親」と言います)口上を述べ一気飲みをし、さらにお酒を皆に回し、全員が順番に一気飲みをしていきます。

 お酒が一周して全員が飲み終わると「親」が変わり、その親がまた口上を述べ、同じように全員がお酒を回し飲みします。この飲み方が続きます。

 

 これまで、島の文化、しきたりだと言われてきましたが…

 

 実は、誤解されたまま広まってしまった風習のようです。

 

 

○ オトーリは文化ではありません ○

 

 オトーリはこれまで 「宮古島の文化」 として広まってきましたが、年配の方に確認したところ、実際には1970年~1980年頃から広まりだした、とても歴史の浅い、ただの飲み会の場での遊びだったようです。

 

 現在、誤解されたまま情報が広まっているのは、お酒の席での酔った勢いで 「これは宮古島のしきたりだから」 と理由づけて飲ませていた誤った情報がそのまま広まったものと思われます。

 酔った状態なので、言葉も大げさになったりすることは無理もありませんが、この辺で一度、オトーリを冷静に見つめてみてはいかがでしょうか。

 

 

○ 説得力を増すために付けられた逸話 ○

 

 現在定着している諸説の 「貴重なお酒を同じ分量だけ飲むために始まった」 とか、「神事の際に行われていたものが文化として定着した」 などの話は、オトーリが流行していく中で説得力を増すために、歴史を掘り返してあとからくっつけていったようです。これは、オトーリの流行が70年代~80年代に始ったことを考えていただければ理解できると思います。オトーリはごくごく一部の地域だけで行われていたもので、ここまで流行しているのは30年ほど前からだそうです。

 

 この内容に疑いのある方は、いつごろからオトーリが頻繁に行われるようになったのか、60代以上の方に確かめてみることをおすすめします。

 確認は、大げさに話しをしないきちんした理性のある人を対象に、複数の方にしてください。

 

 その時代を生きた人の話によると、ここまでオトーリが流行した理由の一つは「バブル全盛期へ向かう中での贅沢の極み」が、宮古島ではオトーリであったと聞きました。贅沢ができる時代に入り、急速に広まったそうです。

 

 

○ オトーリの作る生活環境 ○

 

 40代以下の世代は、本当に 「文化、しきたり」 と思いこんでいる人がほとんどだと思います。

 少年から大人の仲間入りをする、まだ社会の右も左も分からない時期に、オトーリを回され大人たちに文化だと言われるので、誤った情報のまま意識へ刷り込まれるのも無理はありません。

 

 目上の方々は文化だ、しきたりだとお酒の席の勢いで無理やりにオトーリを下の世代に飲ませてきたのですが、これから生まれる宮古島の子供達もこうやってオトーリを引き継いでいくのでしょうか。

 

 オトーリは流行してからまだ30年程度の歴史ですが、100年続いたら本当に文化として定着してしまう可能性もあります。

 

 ただのお酒の席の遊びが島の文化だなんて…これでいいのでしょうか?

 

 現在、価値を上げるために様々な逸話がくっつき、 「中国式の乾杯が起源である」 とか、「神事に由来する」 とか言われていますが、これらは冷静に見つめればどれもオトーリの問題の視点をズラしてしまう、あまり意味のない話です。

 こういった逸話に惑わされないように除外すると、冷静に考えないといけない純粋な問題点が見えてきます。それは、アルコールの大量摂取と、これが及ぼしている社会環境、生活環境、家庭環境への影響です。

 

 

○ オトーリと生活と健康 ○

 

 お酒の席は楽しいので、ついつい飲みすぎてしまうのも理解はできますが、オトーリは半ば強制的に飲まされてしまう、例えるとタバコの副流煙と同じような結果をもたらしています。

 

 オトーリを冷静に見つめられない原因のひとつとして、本当はプラスの要因であるはずの宮古島の島民の陽気で明るいポジティブな性格が挙げられます。

 お酒の多飲が原因での失敗や恥、さらには病気や事故、犯罪なども笑い話で済ませてしまうことなどもあるようです。

 

 オトーリは泥酔状態になるまで続くのがほとんどで、その結果として争いや盗難、飲酒運転などの犯罪や事件、事故の起こる確率を高めています。

 さらには、子供たちが親や教師など、本当ならば尊厳のある大人たちの泥酔した姿を見る機会を増やします。

 

 宮古島の子供達にはそれが当たり前の環境になってしまっています。

 

 指導者的立場にある親や教師、政治家が子供達に泥酔の状態を見せていては子供達に語りかける言葉にも威厳や説得力がないように思えます。

 それから、アルコールの大量摂取が与える健康への害は皆様ご存知のとおりです。

 

 

○ オトーリ肯定派の意見 ○

 

 オトーリ肯定派の意見をいくつか挙げていきます。

 

「目上の人と無礼講で同等に話せる機会の場」

「口上により、人前で臆することなく話ができるようになる」

「お酒の場が盛り上がる」 などがありますが…

 

 泥酔状態での上司や目上の人との対話は、のちにトラブルの種になっていませんか?

 人前で臆することなく話ができるというのは、アルコールの入った状態だけでの話しではないですか?

 楽しいお酒の席は、仲間が集まれば自然と会話も弾み、盛り上がると思います。理性がなくなるほどお酒を飲み、無理やりに盛り上がる必要があるのでしょうか?

 仮に、これらの肯定意見を認めて差し引き勘定したとしても、マイナスの面が多すぎるように思います。

 

 

○ 断りにくいオトーリ ○

 

 大量のアルコール摂取が与えている健康面や精神面への影響はないがしろにできる問題ではありません。

 お酒が原因で体調に不和をきたし、薬を飲みながらオトーリに参加している人を見たことがありますが、そこまでしてお酒を飲む理由は 「仕事のため」 だそうです。

 

 これも、根付いてしまったオトーリが宮古島社会へ与えている悪影響ですが、接待なども、オトーリへの意識が変わり減っていけば身体はずいぶん楽になると思います。

 オトーリの最中に 「飲めなかったら飲まなくていいよ」 と言う人もいますが、宮古島の社会でのオトーリは、かなり断り辛い雰囲気があります。

 身近な友人などと行う場ではあまりありませんが、上下関係のある飲み会の場で酔いが回り始めると、たいていの場合は強制的にオトーリを飲まそうとする人がでてきます。

 断るとケンカに発展する状況も何度も目の当たりにしてきました。そのうちに、断るほうが悪いことをしているような雰囲気にまでなってきます。

 

 それくらい、オトーリが島の常識になってしまっています。

 

 オトーリが始まるのは、酔いが良い感じにまわりはじめた頃なので、楽しい雰囲気の出来上がった中、理性がきちんと働かない状態で、人間関係の背景も含め、お酒を断ることはなかなかできません。

 

 

○ 理性ある人達を追い出したオトーリ ○

 

 宮古島ではこれからも、成人を迎える新しい希望に対してこの誤解されたしきたりをするのでしょうか。

 まだきちんと社会を知らない、善悪の判断がうまくつかない若い可能性たちは、オトーリをどう判断してどう選択していくでしょうか。

 目上の人に文化だ、しきたりだと言われてもオトーリを拒否できるでしょうか。

 私達がそういう風に少しずつ思い込まされ、意識に刷り込まれていったように、これからもオトーリは延々に続くのでしょうか?

 

 長い年月の意識への刷り込みで、冷静な判断ができなくなっていませんか?

島外で生活したことのある人は客観的に見れるので、気付きやすいのですが、長い間、島のオトーリの渦中にいる人は雰囲気に呑まれていて、この現状に気付きにくいのかもしれません。

 

 なかにはオトーリがあるからという理由だけで、島外で生活をし、島へ帰るのを拒んでいる人達も多くいます。

 

 

○ オトーリは宮古島の未来に必要? ○

 

 沖縄には数百年前まで、生贄という今の人類からは考えられないような、おぞましい間違った風習のあった地域もありますが、時代の流れや人間の知識、理性の成長に伴い、みんなで考え、無くしていった文化や風習があります。

 つい百年前まで宮古島にあった 「人頭税」 という病人や貧民を苦しめたおかしな法も、無くなっています。

 

 オトーリは、宮古島の社会に深く影響を与えています。

 

 教育、政治、仕事、コミュニケーション…生活にお酒が密接に繋がっています。

時代はもう2000年を越えています。

 この辺で、オトーリを見つめ直し、未来へ残していいものなのか、少し考えてみるのはどうでしょうか。

 

 オトーリは文化ではありません。仮に文化であったとしても、残すものか無くすものかは、私たちの意思で決めることができます。

 

 オトーリは宮古島の未来に必要なものでしょうか。

 

 このオトーリの現状と問題点は他の地域から見ると、簡単に気付くような話です。

 

 気付きにくいのはオトーリの渦中にいるからです。

 

 アルコールの大量摂取や泥酔状態が良いことか悪いことかは、誰でも判断できることです。

 

 オトーリは文化ではありません。

 

 本当に宮古島の未来に必要でしょうか?

 

 

※このHPの掲示板を、オトーリの問題点、情報交換などにお使いいただけたら幸いです。